観蝶日誌
2022.7.14 更新
13日は水曜日、いつものように大学の授業の後、A先生+ゼミ生と蝶探しに。
旭川近郊の低山地にはウラジャノメの変異種メナシウラジャノメというのがいます。オオイチのシーズンも終わったので今回はそれをねらいました。
明るい落葉広葉樹林が生息地、食草はショウジョウスゲの場合が多いようです。
ミズナラが植林された斜面は管理され草刈りが施されていました。オオヒカゲがたくさん飛んでいます。ここのオオヒカゲは図鑑制作の時にお世話になった個体群です。
カサスゲなどの食草も草刈りで消滅していますが、S君が蛹殻を見つけました。彼の観察眼は着実にアップしていますね。
さてウラジャノメですが、疎林の中からときどき遊歩道に近づいてきます。何回かのネットインのあと運よくメナシのオスをゲットしました。
こんなんです。
さて、そのほかは♀が多いのでお持ち帰りで採卵することにしました。
他の蝶は、草刈りされた草地にウラギンヒョウモンが多数。草刈り後のクサフジの残骸の上にカバイロの♀がうろうろしていました。
このあと富良野で仕事があるというので一緒に富良野に戻ることに。ちょっと空き時間があるので布礼別林道に寄ってみました。
いつもの吸水ポイントにミヤマカラスアゲハやタテハ類が集まり、旭川ではほとんど見られない産卵するエゾヒメシロなどを観察しました。
そして、ちょっと驚きの出会いがありました。ヘリグロチャバネセセリです。富良野ではスジグロチャバネが発生し始めて久しく最近はヘリチャは全くと言っていいほど見かけていません。
ちなみにその辺の経緯について新しく富良野博物館の紀要に書いたのですが、もっとも古い記録として1978年の物がありますのでちょっとここで写真を紹介しておきます。
1978年に富良野市東京大学付属富良野演習林で長南功氏によって採集された標本(2020富良野市博物館報告第2号より)
スジチャの特徴の性標がはっきり残っていますね。
さて林道上で見つけたセセリは最初はやたら早い発生のスジチャ?と思って近づいて、あれれヘリチャでしょ。と驚いた次第です。
ヘリチャですね。ヘリチャとしても最早記録ですが(従来は7月13日清水町)、それより、ここ布礼別では20年くらいお目にかかっていなかったので貴重な出会いでした。
そんなことで、次の日の14日の午前中にまたまた布礼別へ。いやはやますますの勢いでタテハ軍団が吸水しています。
さて、お目当てはヘリチャです。林道わきを注視してやっと1匹近づくことができ撮影してからネットイン。
これですが、ネットインして確認してみたらスジチャでした。これも最早記録なのですが(従来は7月17日富良野市)、それより昨日採った場所と同じ場所にこんどはスジチャです。混生しています。
これはちょっと調べる必要がありそうです。
そのほかの夥しいタテハ類のお姿、少し紹介しましょう。
コムラサキもメチャメチャ多いのですが、なかなか紫色の輝きは見せてくれません。こんなもんで失礼。
次に多いのがシータテハですが、その手前にエゾヒメシロのオスが来たのでギョロメで撮りました。
エゾヒメシロの♀は道端で産卵しています。
クサフジの柔らかい葉にタッチして次々産卵していきます。いつ見てもすごいポーズだなあと思います。
産み付けられた卵が見えますね。
生き残りのオオイチやエゾミドリの♀、アカマダラ、コチャバネ、コキマダラ、エルタテハ、ヒオドシ、エゾスジグロなども吸水に来ています。
陽が高くなり暑くなってきました。車でひき殺さないように注意して家に戻りました。
おわり。