観蝶日誌
2022.8.30 更新
虫研後輩のKさんとオオゴマシジミ調査に行ってきました。成虫調査は雨に降られましたが、今度は花を食う若齢幼虫が狙いです。Kさんは地元のゴマシジミの調査や保全に長年取り組んでいるので心強いパートナーです。昨年終齢幼虫と蛹を発見したときにも手伝ってもらいました。さて、山奥の生息地までがたがた道を車を進めていきます。まずは食草のクロバナヒキオコシ群落の分布を車窓から見つけます。車が転回できるところの折り返し付近に食草があったので少し探しますが見つかりません。やっぱり本命にのところに行きましょうと、いつも見ている斜面に移動します。クロバナヒキオコシはまだ花をつけています。昔々の道新版「北海道の蝶」のため道南で撮影したとき以来の挑戦です。(実はフィールド図鑑にもその時のポジ写真が使われています。)ゴマシジミのように花穂に食い入ることもないので花やつぼみ周辺を丹念に見ていくと、褐色の小さい幼虫が卵の殻と一緒に目に入ってきました。
こっちのほうはつぼみを食べています。
3齢くらいでしょうか。それとももう終齢でしょうか。オオゴマシジミの生態は、当時中学生だった平賀壮太氏の記録が群を抜いているのですが、私らのバイブル「原色日本生態図鑑」に平賀氏の記載が引用されていて、それによるとアリの巣に入る直前の幼虫(終齢)の体長がが3.5mmとなっています。また、「体毛は3齢時と異なり、こん棒上の短毛が一面に密生し…」とありますが、実際にどう変化するのか見ていないと何とも言えません。Kさんもいくつも見つけたようで、「結構大きいのもいますね」とのこと。そっちに行ってみると、こんなのがいました。
けっこう立派で綺麗です。
この幼虫なんか見ると、芦別で観察できた巣に入るゴマシジミの終齢幼虫の雰囲気があります。ちなみにゴマシジミでは終齢がぽろっと花から落ちて地面でハラクシケアリに出会い、蜜をアリに与え、巣に運ばれました。
べつのやつは何だか黒光りしてじっと茎に静止しています。なんだかアリを待っている雰囲気もありますね。
そこで、近くの食草の上を徘徊していたモリクシケアリ2匹を幼虫に近づけてみました。(すみません写真はありません)
その結果は、アリは全く無反応でした。結局巣に入るところは謎のままです。
一応体調を測ってみようとスケールを出して写真を撮っておきました。
3.8mmくらいでやはり終齢のようですね。このへんで調査終了。次回は越冬前の巣の中の幼虫を探してみましょうということで退却しました。
花を見ていてのオマケ。おおっつ!でかい幼虫と思ったらトラフシジミの幼虫でした。こっちにはモリクシケアリが来ていました。
以上です。