観蝶日誌
2022.12.7 更新
今年の北海道は根雪が大変遅れましたが、今日は暦の上では「大雪」の日。
当たりは雪景色です。昨日は富良野の朝はキリリと冷えて全国ニュースで「ふらので今年初めて-20℃を記録」と報じていました。
「観蝶日誌」でもその様子を報告しましょう。
-20℃に冷え込んだ庭の様子
さてこんな冬に何を探すかというと、エゾシロチョウの越冬巣です。チョウ仲間のNさんから学生がエゾシロ幼虫の凍結実験に使いたいので探してみて
と連絡があり動き出した次第。
さてエゾシロは6月にいろんなところにふわふわ出没するのですが、発生する樹は使いまわしながらもだいたい決まっています。
我が家周囲にはあまり発生しません。ことしは1頭メスが来たみたいで、庭のシウリザクラの枝先に一つだけ越冬巣がくっついています。
わかりますか?柏の葉の上の方に2枚の葉が風に揺れています。
こんなんじゃ実験の足しにはならんので、今日はいそうなところに車で出かけることにしました。
エゾシロは市街地にもいますが、ちょっと街はずれの、農家の庭木などによくついています。
そんなところを目指します。
我が家から畑の間を車を走らせていくとキタキツネが雪に鼻を突っ込んで何かを探していました。ネズミかな?
結構きれいな個体なので観光客のように車を止めて撮影に。
たしかに立派な成獣ですね。春先いつも我が家あたりをうろつくのはコ汚いオスなんだけど、この毛並みは襟巻に使えるね。
なんて思っているとすたすたとさらに街の方へ歩いていくのでした。
確か孫に付き合って麓郷街道先のアンパンマンショップに行ったときに、農家の桜についていたのをチラ見していたのでそこに行ってみました。
やっぱりありました。
勝手に取るわけもいかず、玄関でピンポンし、ご老人に大きな声で「スミマセン、お庭に蝶々の幼虫の巣がついているのですが、研究のため採らせてください・・・・。」
とお願いすると耳は遠いようでしたがしっかりと「研究のために使ってください。」との了解のご返事をいただいたので、ちょいと高枝ばさみでゲットしました。
枝に巻き付いている蛾の巣の残骸もあるのだけど、エゾシロの巣はきちんと白い吐糸で枯葉が結び付けられています。
5,6個ゲットしてお礼を述べて、布礼別方面に回ります。
おっとこんどは農道わきに、コリンゴかな巣がついていました。
これはコソっと狐の足跡の上に人の足跡を残してゲットしました。
つぎに目星をつけていたヒメギフの聖地「八幡神社」に向かいました。ここにも少しついていました。
雪の上をみると私の様子がわかります。
そんなこんなで10個以上はゲットしたので戻ることに、今日はいい天気になって富良野岳方面が輝いていました。
家に戻って少し巣の中の様子を見てみました。これは葉がきれいにたたまれた巣です。
これを開いてみます。
こんな感じでよく見ると死んでいるのもいます。
細かに糸で袋をつくっている部分は、その中を切り開いてみると生きていそうなのが出てきました。
「完本」に兄の写真が載っていますが、1匹ずつちゃんと寝袋を作っているようです。
まあ、それぞれの巣の中には何匹かは入っていそうなので、研究者に送って実験に使ってもらえそうです。
本州で絶滅危惧状態の同属のミヤマシロチョウの保全に関する実験だそうです。
ミヤマシロは絶滅危惧ですが、本道のエゾシロ君は都市化にうまく適応して北海道の生活を謳歌しているようです。
そういえば、枝にぶら下がる巣と言えばミスジチョウもありますね。こちらは寝袋なんぞなしに丸裸で寒さに耐えています。
おしまいにその様子をご覧ください。数年前の-20℃の朝の写真です。
いやあ~寒そうでしょ。これから富良野もこんな日が続くのですすが、我々は化石燃料に頼って生活せねばいけません。
温暖化対策のためならしばらくこんなことができればいいのかもしれないと思うのでした。
おわり。