観蝶日誌
2023.5.11 更新
5月に入り桜も散り始めました。またいつものように大学の授業の帰り旭川近郊の山を歩きました。
ねらいはウラジャノメの幼虫です。この幼虫も難敵のひとつで図鑑づくりの時にも苦労しました。
なんとか旭山動物園の近くの疎林で越冬前と越冬後の幼虫を何と撮影することができました。
この旭川近郊の低山には裏面の眼縄文の真ん中にある白紋が消えるメナシ型が出現するのも有名で、今日はその産地を尋ねました。
こんな感じの疎林です。刈り込まれたあとにはミズナラが植林されています。ウラジャはササの生える疎林のあたりから出てきます。
そこで、その林床のスゲ類を探しました。
ショウジョウスゲ?の葉先に食痕が残されていないか見ていきます。食痕があると根本も含め目を凝らしてだがします。
が、みつかりません。ときどきイモムシが出てきてビックリです。
おおつ、緑色の幼虫だ、ウラジャか?と思い近づいてみると・・・。
あれれ、お前はオオヒカゲじゃないの。よく見ると斜面の下の水が溜まっている付近には幅広のカサスゲ系が生えていてオオヒカゲがたくさんついている。
そこから飛び火してショウジョウスゲを食べているんですね。
まあ、オオヒカゲも撮影しておきますか。
どこについているかわかりますか?
こちらは2頭いますが、となりあう体の上下が違います、どちらが頭かわかりますか?
左の幼虫が上向き、右の幼虫は下を向いています。
ウラジャの方は、1時間近く探して諦めました。気分を変えてスミレ幼虫探しにします。
刈込の跡にはスミレが広がっているところがあります。そういえばウラジャの成虫を追いかけたころにヒョウモン類が飛んでいましたね。
オープンな環境なのでギンボシなどでしょう。と枯葉をめくるとすぐに見つかりました。
こちらはウラギンですね。
日光浴しているのはメスグロです。
アップで見るとちょっと毒々しい感じ。このところ北海道にも多くなっていて個人的にはあまりいい感じはしません。ごめんなさい。
さて、気温も低く飛んでいる蝶もすくないので帰ることにしますか。帰り道でついついササ食い幼虫に目が行きます。
雪に押しつぶされていたササの葉も立ち上がり、新芽が伸び始めています。すぐにはでなクロヒカゲの食痕が。
近づくとなんと顔が見えました。
もう立派な終齢になっています。皆さん工夫を凝らしカモフラージュしていますね。
枯葉に合わせて体をよじらせているのが笑えますね。
枯葉ではなく茎についているのもいます。
以前クロヒカゲの幼虫越冬については観察記録に詳しく載せました。もちろん緑色系の3~4齢もいましたが、ずいぶん成長が早い気がしました。
とりあえず頭の角の大きさが気になっているのでサンプリングしました。
駐車スペースに戻ると、車に触れそうなところにエゾシロチョウの越冬巣がついていました。もう脱皮して周辺の若葉を食べ始めています。
食樹はエゾノコリンゴのようです。やっぱり毛虫は集まるとキモイですね。
そんなこんなで車に乗り込み、十勝岳を車窓から眺めながら帰路につきました。また来週チャレンジしようかな。
おわり。