観蝶日誌
2023.8.2 更新
富良野も暑い日が続いています。そんな折、涼を求めて(?)高齢者2人は若者のサポートを受け日高の渓谷に入りました。
今回は趣向を変え河原で車中前泊です。沢でオショロコマを釣りあげそれを塩焼きにして一杯と企んだのですがあいにくの雨で川は茶色い濁流。
しかたなく持参したラム肉で夕食です。サポートの若者はこの頃たびたび登場するY君です。
軽ワゴンのハッチバックを連結するようにして雨除けを作りました。蝶談義も弾み夜は更けていくなか途中ベニヒカゲもアルコールに引かれてか飛んできました。
渓流の音を聴きながら就寝。翌朝は明るい日差しが差し込みスッキリ目覚めて、釣り師は川を見にいくとなんとビックリ素晴らしい清流に戻っているのではないの。
早速私とY君は釣り竿を車から引き出し澄んだ淀みに竿をいれると小ぶりのオショロコマがエサやルアーを追いかけてくる。
楽しい夏の日という感じですがこんなことばかりしていてはいかんな、と、朝飯を簡単にやっつけると河原のヒヨドリバナになんとエゾツマが吸蜜に飛んでくる。
カメラを持ち出す暇を与えず飛び去ってしまう。
さて、今回の大きな目標は日高の渓谷に棲む珍蝶先ほどのエゾツマなのです。車2台分かれて、良さそうな崖に2張り込むことにします。
まずは先ほどの個体のように吸蜜に来るのでしょう。と、花の上の蝶を探します。ヒヨドリバナなどそこには夏の蝶が集まっています。
とにかく多いのが、昨夜にもお会いしたベニヒカゲ。
紅色の紋がきれいですね。メスにオスが盛んにアタックしますが、メスは交尾済みなのか拒否するのばかりです。
葉の上では、何を勘違いしたのかオオチャバネもベニヒに尻を曲げながらアタックしています。
ベニヒカゲの次に多いのがこのオオチャバネかな。いつも思うのですがセセリはアップで見るとカッコイイのです。
次に多いのが、これでした。
サカハチ君もよく見ると個体変異がありますね。左の個体は黒っぽくてカッコいい?。
さて、見てみたいのはツマジロウラジャノメ。本州のものとは別亜種とされエゾツマとよんでいます。
朝にご挨拶にきたエゾツマ君はなかなかお見えにならない。別の崖に移動して、また戻ったりしているとやっと吸蜜に来ました。
よくあることなのですが、崖の上の方のキリンソウの上を移動しながらの吸蜜です。
300mmのレンズで見ているのですが、少しすれたメスであることがわかります。
なかなか下の方には来てくれないのですが、それもじっと待っていると、下の方に降りてきました。
翅が破れていますね。この破れ具合で個体識別できそうなので、この娘はA子としておきましょう。
この娘はB子さん。道端のヒヨドリバナまで降りてきました。
翅の欠け具合の違いわかりますよね。これはC子さん。
いつものギョロメで写してみました。
今回はできれば産卵の写真を撮りたいと思っていましたが、なかなかその気は起こらないよづでもっぱら吸蜜しています。
個体識別は家に帰ってからじっくり見てみるとF子まで6個体は確認できました。
オスはいません。発生ピークはとっくに過ぎているようですがメスは生きのびて産卵を続けているのです。
水分・栄養補給(辻氏謹製の納豆ラーメン)を道端にイスとテーブルを出してすませて再びウオッチング。
産卵はまずベニヒカゲが始めました。崖のヒメノガリヤスの中に潜り込んでいます。ちょっと写真ではわかりにくいですが、確かに腹をまげていました。
産んだのはこの子です。
そうこうしているうちに近くの崖にエゾツマがひらひら下りて来て、明らかに産卵場所を探し始めました。おおっつ。お気に入りの小さな株をみつけタッチングし始めました。
そしてついに細い葉に足をかけ腹を曲げ卵を産み付けました。あわててシャッターを連写(愛機D700連写は苦手)しましたがどうでしょう。
ちょっとピントは甘かったのですが、どんなところに産むかわかりやすい写真にはなりました。
ちなみにこの子はF子です。よくがんばりました。卵です。
今回は他の蝶の産卵にも結構出会いました。生き残りの♀でいえば、ホソバヒョウモン。
駐車スペース、食事場所につかった草が刈られた道端です。こんなところに?と思うのですがよくみると小さなミヤマスミレがありました。
梢ではミスジチョウの産卵です。
崖に生えているドロノキにはコムラサキが飛んできました。
(これまたしっかり写っていませんが…)ルリシジミがオオイタドリの花に曲げているお腹がわかるでしょうか?
エゾツマA子と他の2名を拉致して、さて、帰りますか。ヒヨドリバナにウラキン母さんが止まって見送ってくれました。
8月に入ると同好のハンターたちの姿が少なくなりゆっくり観察できますねと相棒。
Y君も撮影の合間にサンショウウオをすくったり楽しめた?よう。
この他観察・撮影できた蝶は次の通り。ミヤマカラスアゲハ(1頭)、クジャクチョウ(数頭)、コヒオドシ(1頭)、シータテハ(1頭)
ミドリシジミ♀AB型(1頭:下写真)、メスアカミドリシジミ卍飛翔(1組)、ウスイロオナガシジミ♀(1頭)、キバネセセリ(数頭)、エゾスジグロシロチョウ(多数)、ウラジャノメ(数頭)、ヒメウラナミジャノメ(数頭)、ヒメキマダラヒカゲ(数頭)、クロヒカゲ♀(1頭)
今回は渓流沿いの山奥で車を止めてのキャンプ。高齢者二人は30年以上前、道新の「北海道の蝶」を兄と作ったときの思い出していました。
それでY君にはその古本に、「これはレアものだよ」と、二人のサインを入れてプレゼントしたのでした。
おわり