観蝶日誌
2022.6.13 更新
6月に入りました。鳥沼公園のゼフ幼虫の最終報告です。
まず、5月29日に幹を降りたウスイロオナガシジミですが、30日には根元のは枯葉に入って前蛹になっていました。
6月6日に行ってみると、なんとちょうど蛹化中でした。幼虫の皮が体の動きでゆっくりずらされていきます。
もうすでに3分の1くらい蛹の部分が顔を出していましたが、動画で約20分録画して皮が脱げ静止しました。
この観察で、野外での前蛹の期間はちょうど7日間ということで、飼育下とくらべるとずいぶん時間がかかることが分かりました。
さて、もう一つ追いかけていたウラミスジシジミですが、幹の上を這いまわり、くぼみに体を埋め込んだりしていたのですが6月6日に完全に見失いました。
このワンダリングの期間も7日間ということで、ずいぶん長いことが分かりました。ここまで確認した居場所の写真はこれです。
さて、ちょっと横道にそれますが、ゼフの楽しい生態観察ができたこの場所で先日11日、自然観察会「富良野の自然に親しむ集い」を開催しました。
中身は「初夏の雪虫」です。講師は北大名誉教授の秋元信一先生(北大虫研の後輩)と図鑑執筆メンバーの石黒誠さんです。
実は、数年前NHKの「ダーウインが来た」チームが「雪虫」をテーマにとりあげ、秋元先生が全体の監修役、地元取材で石黒さんがびっちりサポートしました。
そのロケ地のひとつがこの「ゼフ再生の森」で、何か月も雪虫のホストのヤチダモを追いかけていました。
そして、なんと石黒さんが雪虫の新種を見つけてしまいます。詳し内容は割愛しますが、今秋元先生が記載中で、観察会では正標準和名を「フラノユキムシ」
とする予定との発表、参加者は大いに盛り上がりました。
観察会では、残念ながら富良野雪虫のコロニーは次世代に移動して見られなかったのですが、普通の雪虫をみんなで観察しました。
昨秋飛び回った雪虫から生まれた卵が冬を越し、ヤチダモで繁殖した第2世代が次の「トドマツ根っこ世代」に移るための有翅型、いわば初夏の雪虫が観察できました。
話はまた飛びますが、そんなヤチダモの観察会をしていると参加者から「永盛さ~ん、なんか幼虫がぶら下がっています!」との声。
何?と、その声のヤチダモに向かってみると、なんとヒオドシチョウの前蛹がぶら下がっていました。
解説もそこそこに、カメラを取り出し撮影モードに入りました。
さて、こいつはどこから来たのだろう?と周りを見渡すと食樹となりそうなのは7~8m離れたところにあるハルニレ。
そのえだを探してみても他の幼虫は見当たりません。
観察会は続いていますので、集団に戻り雪虫以外のアブラムシなどの昆虫を探しました。私からはハンノキの葉についたギョーザのようなミドリシジミ幼虫の巣と
ハリギリについた「三角くじ」のようなキバネセセリの巣を紹介し「三角くじ」の当たりをみんなで探し参加者が見事キバネセセリの終齢を当てました。
(ずーっと話をしていたので、その辺の写真はありません。あしからず。)
翌日12日にヒオドシが気になってまた行ってみました。まだぶら下がっています。
もういちど発生木を探してみますが、ヒオドシは見つからず、代わりにシータテハを見つけました。
食事中でしたが、気配を感じこんなポーズになってしまいました。
6月13日。今、ヒオドシがどうなったか行ってみました。おおっつ、無事に蛹になっていました。
観察を続けていると、フラノユキムシのような発見もあるのですね。ヒオドシチョウの蛹もささやかな発見ですが、こんなことがあるから野山歩きはやめられないのです。
では、また。
(因みにタイトル画像はオナガシジミです)